前回の記事の続きです。その1はこちら
■日能研教務部社会科の先生のお話
❖難関校とそのほかの中学校の入試問題傾向のちがいについて
【進学校、あるいはその他の中学校の入試問題】
中学入試に向けて努力してきたかがしっかり評価されるような設問。
問題の難易度の配列は比較的順番通り(大問1が比較的取り組みやすい→最後の方の大問は難しい)。
採点が誰にでもできる問題が多い。
【難関校の入試問題】
上記を前提とした上で、さらに「運用する力」を評価できるような設問。
表面上の知識だけでなく、その後それを元に伸びることができるかをはかるような問題が特徴的。
式や記述などの過程をみる問題も多い。採点は各教科の先生でないと難しい問題も。
「すべて答えなさい」など、答えが一つとは限らない問題も多い。
問題の難易度配列がバラバラなことも多い。
各学校のポリシーやこだわりが入試問題に落としこまれていると感じる。
❖難関校で試される「運用力」とは
4つのキーワードで説明がありました。
調査力:手を動かして調べる力
整理力:条件をしっかり読みとる力
推論力:規則や性質を理解し、一般化したり具体化する力
表現力:相手に自分の答えを伝える力
この4つの力を培っていこう!
5年後期で始まった思考力育成テストなどは最適なので、意欲的に取り組んでほしい。
また、テスト後にぜひ家庭でふりかえりをして、更に家庭で設問内容について親と話す時間を設けてほしい、とのこと。
❖実際の入試問題を例にしての解説
2010年開成中の国語の問題から
ありがたい+ございます →ありがとうございます
めでたい、せこい、さむい、やばい、おおきい をそれぞれ例のように変化させた後、普段使われない言葉を選び、また、どうして普段使われないか理由を考える問題です。
出題者側は、子供が言葉についてどのように考えるのか、運用力を試していると思う。 とのこと。
この問題の他、
武蔵の社会で「御身渡り」を見ることができる湖を選べ という問題 (リード文に答えが書いてある)
麻布の社会で新宿西側にかつてあった浄水場は、昭和12年の地図には「公園」として記載されていました。どうしてでしょうか、記述しなさい というような問題について(想像力や推理力が必要)
聖光の算数で流しそうめんを題材にした問題 (解くのにはかなりの努力と根性が必要)
などの解説がありました。
ここまでが、日能研社会科の先生のお話。
5年生後期が始まってこれからの時期、基礎力をしっかりすると同時に4つのキーワードも意識することも大切なんだなと改めて思いました。
また、思考力育成テストの記事に書いたのですが、テストの振り返り後に家庭で話題にしたり話を広げるのが大切だと思ってて、それを先生もおっしゃっていたのがちょっと嬉しかったです。
開成の2010年の国語の出題については、日能研の「 シカクいアタマをマルくする。」に取り上げられていました。開成の先生による解説も掲載されています。
日能研のホームページトップ → シカクいアタマをマルくする。 → 2010年5月掲載 から問題と解答と解説が見られるので、興味をお持ちの方は是非。
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